藍色 時間軸:大1初夏

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  「今日は何?」 「そうめん」 「マジ?何年ぶりだろ」 怜が半身を起こしてキッチンを見る。 「レイ、そうめん好きなんだ?」  「すっごい好きって訳じゃないけど、好きだよ。最近食べた記憶無いし嬉しい」 「そうか、良かった。俺も結構好きなんだ」 明は沸騰した鍋に、片手で器用に束ねている紙を切りながら、素麺を入れて行く。 「なんか季節感じる食いもんて、良くないか?」 「んだよ、ジジ臭い事言って」 眼鏡を曇らせながら振り向いた明の言葉に、怜は小馬鹿にした口調で笑った。 「ジジ臭くても美味いもん食えたら結構。そういや俺、素麺今年”初もん”だ」 「初もんって……18が普通言う?」 明の減らず口に怜は少し笑いながら、窓の外を眺める。 空の色が鮮やかで、心なしか熱を帯びている。 怜は無意識に笑みを零した。 ――季節の中で好だった夏が来る。
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