◆獣人

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突然背後から大きな唸り声がして、驚いて身構えるといつの間にか獣人が10体ほど自分を取り囲んでるではないか。 手には、槍や剣、大きな斧を持っている。 獣人は身の丈が2m近くもあり、筋骨隆々で戦っても到底勝てる気がしない。 とりあえず、両手を上げ敵意のないことを伝えてみる。 が、手にした武器をおろす事無く、じわじわ距離を詰めてくる。 これは戦うしかないか。 仕方なくピラミッドを背にして、持っていたカッターナイフで身構える。 グワォーー 次の瞬間、一番近くにいた獣人が、大斧を振りかざし突進してきた。 さすがにこれはカッターナイフなどでは、どうしようもない。 もうダメかと観念したところに、妖精がすごいスピードで獣人とあたしの間に飛び込んで来た。 なんだ。 シルフそんなに速く飛べたんだ。 この状況でそんなことを思っている。 シルフが獣人達を睨みながら、下がれ! と一言発すると獣人達は酷く恐れた様子で一目散に遺跡の奥の森へ消えていった。 助かった~ シルフ、ありがとう。 感謝の言葉にはシルフは答えず、獣人達が逃げ去った森の方をしばらく見つめていた。 シルフに後で聞いた話しによると、シルフの種族は火と水の魔法を使うことができ、かつて狂暴な獣人と戦ったことがあったようだ。 そして、数は少ないがシルフの一族が圧倒的な勝利を収めたらしい。     
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