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◆緑の実
◆緑の実
ぐぅーーー
また、お腹が鳴った。 もう本当に死にそうだ・・・
セレネ セレネ・・・
遠くでシルフが呼んでいる。
声がする方へ歩いて行くと一番小さなピラミッドの横に、赤い実を付けた木々が規則的に並んでいた。
これは人工的に植えられた、いわゆる果樹園のようなものなのだろうか?
セレネ、これは食べられる。
シルフは小さな指で赤い実をゆび指し小さく頷いた。
赤い実は、自分の拳より少し小さいくらいの大きさで、甘酸っぱい香りがする。
実を一つもぎとって、服の端でゴシゴシ擦ってから、ガリリと一口頬張る。
ん゛ーーーーっ
すっぱーーーーーっ!
レモンの10倍は酸っぱいし、何より唾液が止まらない。
シルフ、ひどいじゃない! これは食べられないに等しいものだぞ。
あたしは期待を裏切られて、シルフに抗議する。
それは栄養があるし、熟した緑色の実はとても甘いのに・・ セレナが最後までよく聞かないで食べた。
シルフが後出しジャンケンのように言うので少々腹が立つ。
辺りの木々を片っ端から見ていくが、緑色の実はなかなか見つからない。 それに普通は赤い実の方が甘いんじゃないの?
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