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◆妖精
◆妖精
青い星がこの星の衛星ならば、いまは夜なのかも知れない。
夜が明ければ、次第に暖かくなるはずだ。
体力を温存するには、もう少し暖かい方がよい。
2時間ほど歩いただろうか、草原には目印になる物がないため、少しも進んだ気がしない。
なんでも人はガイドライン無しに長時間真っ直ぐ歩くことができないらしい。
必ず利き足側に少しずつ曲がってしまい、長い距離を歩けば出発したところに戻ってしまうこともあるそうだ。
そんなことを思い出すと、疲労と空腹も重なり、へなへなとその場にしゃがみ込んでしまった。
喉も乾いた。
このまま水も食べ物にもありつけなければ、自分の命はあと何日もつのだろう。
その場で仰向けに寝転んで、ぼぉっとしていると目の前に、ひらひらと光が飛んで来る。
さっきの妖精だ。
あいつこんなところまで飛んでついて来たのか。
目の前に降りて来た妖精は、予想通りハンカチーフを身に纏っていた。
なんだおまえ、ついてきちゃったの?
どうせこちらの言っている事は伝わらないだろうと思うが、犬や猫に話しかけるアレと同じだ。
妖精は、顔の周りをひらひら飛びながら、こっちを見ている。
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