219人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしは、お腹が減ってるんだ。 もう少しお腹が減ったら、おまえを捕まえて食べてしまうかもよ。
クスクス笑いながら、捕まえる仕草をすると、ひらひらと逃げて行く。
妖精が逃げて行く先を見ると、草原の間から幾つかの岩が出ているのが見えた。
景色に変化があったのは、少し嬉しい。
その岩の方に向かって歩いて行くと、一番大きな岩の陰に小さな泉があった。
泉の周りには黄色やピンク色の花が少しだけど咲いている。
妖精は、その泉の上をひらひら飛んでから反対側の淵に降り、手のひらで水をすくって飲み始める。
それを見て自分も無性に喉の渇きを覚え、すぐさま泉の中ほどまで入り込み、水をガブガブと飲んだ。
ふぅ~
冷たくて少し甘味を感じるそれを飲むと頭がスッキリした。
疲れも少し取れたような気がする。
もしかしたら、妖精はここを教えてくれたのか?
ねぇ、こっちにおいでよ。 伝わらないと思うが呼んでみる。
すると嬉しそうにクルクルと輪を描きながら、こちらに飛んでくるではないか。
妖精が傍まで来たので掌てのひらを出してみると、ちゃんとその上に降りてきた。
どお? 元気になった?
突然、妖精が小さな声でそう言った。
えっ、きみ喋れるの?
突然のこともあり、驚いた自分の声がよほど大きかったのか、妖精は両手で耳を塞ぐ。
最初のコメントを投稿しよう!