◆妖精

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あたしは、お腹が減ってるんだ。 もう少しお腹が減ったら、おまえを捕まえて食べてしまうかもよ。 クスクス笑いながら、捕まえる仕草をすると、ひらひらと逃げて行く。 妖精が逃げて行く先を見ると、草原の間から幾つかの岩が出ているのが見えた。 景色に変化があったのは、少し嬉しい。 その岩の方に向かって歩いて行くと、一番大きな岩の陰に小さな泉があった。 泉の周りには黄色やピンク色の花が少しだけど咲いている。 妖精は、その泉の上をひらひら飛んでから反対側の淵に降り、手のひらで水をすくって飲み始める。 それを見て自分も無性に喉の渇きを覚え、すぐさま泉の中ほどまで入り込み、水をガブガブと飲んだ。 ふぅ~ 冷たくて少し甘味を感じるそれを飲むと頭がスッキリした。 疲れも少し取れたような気がする。 もしかしたら、妖精はここを教えてくれたのか? ねぇ、こっちにおいでよ。 伝わらないと思うが呼んでみる。 すると嬉しそうにクルクルと輪を描きながら、こちらに飛んでくるではないか。 妖精が傍まで来たので掌てのひらを出してみると、ちゃんとその上に降りてきた。 どお? 元気になった? 突然、妖精が小さな声でそう言った。 えっ、きみ喋れるの? 突然のこともあり、驚いた自分の声がよほど大きかったのか、妖精は両手で耳を塞ぐ。     
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