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ごめんごめん。 ちょっと驚いただけ。 あたしは、セレネ。 もしかして言葉、分かるの?
今度は、普通の声音で優しく語り掛ける。
この水には不思議な力がある。
あなたがここの泉の水を飲んだから、わたしたちの言葉が分かるようになった。
妖精はそう答えるとにっこりと笑った。
へぇー そうだったんだ。 魔法の泉かぁ・・
そうだ、きみ・・名前はあるの?
シルフ、 わたしはシルフ。
妖精の囀るような言葉は、頭の中で自分が理解できる言葉に変換される。
シルフ・・か・・・ ところで、きみの他にも仲間は居るの?
その問いに妖精は、少し悲しそうな顔をして、首を横に振った。
何かわけがありそうだが、自分としては一刻も早く人の居る町に行かなければならない。
もし妖精がついてくるなら、追々聞けばよいだろう。
泉の水を持っていた鞄に入っていた水筒に汲んだ。
よかった。 これでしばらくは飲み水の心配をしなくて済むだろう。
シルフ、あたしに付いてくる?
出発する前に孤独そうな妖精に聞いてみる。
シルフはコクコクと頷き、一緒に来るという意思を示した。
よし、それじゃあ、出発だ! シルフ、行くぞ!
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