◆遺跡

2/3
前へ
/997ページ
次へ
まずいな。 いったん川を離れて、この断崖を下るしか先に進むことができそうにない。 滝の横の崖を降りることは、苔で足を滑らせる可能性があり、自殺行為だ。 仕方なく台地を大きく回り込んで、遥か彼方の平野を目指して進むことにした。 そうこうしているうちに、青い月は地平線に沈み、代わりに赤く輝く星が昇ってきた。 赤い星は、青い星と比べると凄く小さく見える。 この赤い星の光で日中なのに夕焼けのような空色になる。 気温も気持ちだけ暖かくなったが、上着を脱ぐほどではない。 森の中を食べられるものが無いか探しながら進む。 木の実は無い。 さきほどの川にも魚らしきものはいなかった。 ぐぅーーー 食べ物のことを考えていたら、お腹が鳴った。 その音を聞いて、一瞬シルフがビクッとなる。 その様がおかしくて、またクスクス笑う。 ねぇ、シルフは普段何を食べているの? シルフはあたしの肩に止まって、花の蜜と答えた。 やっぱり、なんか妖精っぽい。 はぁ~ シルフから期待した答えが返ってこなかったので、深いため息が出る。 バサッ 大きな枝を薙ぎ払い、一歩先に踏み入ると突然目の前がひらけて大きな遺跡が現れた。 遺跡は鬱蒼とした木々に覆われ、たいそう古い時代のものに見える。     
/997ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加