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まずいな。 いったん川を離れて、この断崖を下るしか先に進むことができそうにない。
滝の横の崖を降りることは、苔で足を滑らせる可能性があり、自殺行為だ。
仕方なく台地を大きく回り込んで、遥か彼方の平野を目指して進むことにした。
そうこうしているうちに、青い月は地平線に沈み、代わりに赤く輝く星が昇ってきた。
赤い星は、青い星と比べると凄く小さく見える。
この赤い星の光で日中なのに夕焼けのような空色になる。
気温も気持ちだけ暖かくなったが、上着を脱ぐほどではない。
森の中を食べられるものが無いか探しながら進む。
木の実は無い。 さきほどの川にも魚らしきものはいなかった。
ぐぅーーー
食べ物のことを考えていたら、お腹が鳴った。
その音を聞いて、一瞬シルフがビクッとなる。 その様がおかしくて、またクスクス笑う。
ねぇ、シルフは普段何を食べているの?
シルフはあたしの肩に止まって、花の蜜と答えた。 やっぱり、なんか妖精っぽい。
はぁ~
シルフから期待した答えが返ってこなかったので、深いため息が出る。
バサッ
大きな枝を薙ぎ払い、一歩先に踏み入ると突然目の前がひらけて大きな遺跡が現れた。
遺跡は鬱蒼とした木々に覆われ、たいそう古い時代のものに見える。
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