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そうね、かーさんもお姉ちゃんに賛成。とんかつはまた今度。お寿司美味しいじゃない。
……。
ざー、ざー。
天上からはぽたぽたと水が落ちてきて、あちこちでぽちゃりんぱちゃりんと床に置かれたお椀に水滴が落ちている。母が意地になって雨漏り受けをしまくったらしい。
仁王立ちになるわたしを、母と姉が凝視している。
なにが「でらスッパイ棒」だ。バカも休み休み言えと、無言の圧力をかけてくる。
わたしは二人を見返した。
むらむらめらめらと燃え上がるこの思いは何だろう。自分がどうして今、こんなに反抗したいのか分からない。
だけど、本能が告げていた。今この時を逃したら、わたしは一生、自分のしたいことをできないまま流されて生きてゆくことになる。つまらない人生を心の中で恨みながら――こんなことになったのは、おかーさんが、おねーちゃんが、あるいは同僚の誰某が、友人のナントカがわたしのことを否定したせいだ――ぜんぶ人のせいにして、くよくよいじけながら生きてゆくことになる。
イヤダ。
絶対に、イヤダ。
今、わたしは魂の芯から「でらスッパイ棒」を味わいたいと願っている。
雨が降ろうが、怒涛の水流が襲ってこようが、万難を排して自分の思いを遂げたいと願っている。
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