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雨が続く。
これで三日目。
教室の窓には今日も自然の水玉模様ができている。
「なあ。水玉模様って言えば綺麗な丸だけど、実際はこんな歪なんだよな~」
そう聞いてきたのは、私の机に肘をついてぼーっと窓を眺めていた悟だ。
悟はサッカー部。こんな土砂降りの雨だと、部活は校舎内のランニングや筋トレになるらしい。すでに二日も嫌いな筋トレを強いられたから頭が壊れたのかもしれない。
「いつの間にファッションに目覚めたの?」
「そうじゃねえよ」
じゃあ何だろうか。彼の考えが分からず首をかしげる。
「祐希はバカなのか?おれはただ、おれのことを苦しめる水をけなしたいだけなの!」
「つまり。大した意味はなかったんだね」
「お、ま、え、な!!」
悟は私から本を取り上げて睨みつけてきた。流石にてきとう過ぎただろうか。
「ごめん。いいところだったからつい」
「ついじゃねえよ!」
「ごめん」
続けて謝ると悟は怒りを鎮めて、ついでに机に沈んだ。
「謝んなよ。別に、ただ……もう少しかまえよ」
「うん」
素直な悟の頭を撫でてやる。
振り払わないのは照れているからだと知っている。
悟には悪いけど、私は雨の日が好きだ。
いつもグラウンドにまっしぐらな君が、部活が嫌だとこうやって私のところに来てくれる。
悟みたいに素直じゃないから。私からはかまってなんて言えない。
明日は晴れだ。
こうやって悟と戯れられるのも当分ないんだろう。
だから今日くらいは存分に甘やかしてほしい……
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