after short story 5(律side)

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「急にどうしたの?」 「私、聡がそんなこと考えてるなんて全然知らなくて…」 「兄さんはいつだっておねーさんのこと考えてるよ。ムカつくくらいにね」 「…ん。私ももっと聡のこと考えるようにする」 「そうだよ。もっと大事にしないと許さないからね」 「うん、分かった」 珍しく素直だな、と思いつつ、なんとかクリスマスパーティーが出来そうな雰囲気に安堵した。 それから気まぐれなおねーさんは、突然ケーキを手作りすると言い出してスマホでレシピとにらめっこ。 急にやる気スイッチが入るからビックリする。 その間に俺はスーパーまで一走りして、食材を買い足しておいた。もちろん、クリスマスの飾り付けもね。 マンションに戻ると、いびつな形のスポンジが焼けていた。キッチンには突っ伏すおねーさんの姿。 上手くできなかったからか、落ち込んでいる様子のおねーさんは相当レアで面白い。
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