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おねーさんが玄関のドアを開ける様子を俺は少し離れた場所から見ていることにした。やっぱりサプライズ本番の時は二人きりにしてあげなきゃ。
「聡おかえ、り…?」
「メリークリスマ、ス…?」
実は兄の反応が気になって密かに緊張してたのに、対面した二人の第一声が共に疑問系なのが面白くて軽く吹き出してしまった。
兄は目の前にいるミニスカサンタのおねーさんに、
兄の計画を知ってるはずのおねーさんは、ドアを開けた瞬間に差し出された華やかなローズブーケに驚いてるみたい。
視線の先に見えた兄は長身なだけあってサンタコスを見事に着こなしていた。どこで調達したのか白いプレゼント袋を背負っているけど、余計なものはちゃんと外れてるから安心した。日下、お手柄だよ。
「……」
「……」
サプライズは成功したはずなのに、何故か二人は見つめ合ったまま黙り込んでいる。
シーン…と数秒間の沈黙が流れ、先に口に開いたのはおねーさんの方だった。
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