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帰ろうとしたところで忘れ物に気付き、兄に続くようにリビングに入る。その瞬間、急に立ち止まった兄の背中に鼻が激突した。
どうやら部屋中に漂ういい匂いと、クリスマス感満載の食卓に釘付けになっているらしい。
ちょうどその時、温め直したコンソメスープの鍋を持ってキッチンから出てきたおねーさんが、立ち尽くしている兄を見て口を開いた。
「今日のご飯…律くんが手伝ってくれて一緒にクリスマスメニュー作った」
「律が?」
ジンジン痛む鼻を押さえながら思う。
正直者だなぁ。ここは見栄張って一人で全部作ったって言えばいいのに。
「この衣装も…律くんからプレゼントで貰った」
「その服も…?」
いや、それは正直に言わなくてよかったんだよ。
そんな衣装おねーさんにプレゼントしたなんて兄に知られちゃったら俺本当に滅ぼされるんだから。
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