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「へぇ、今日ってキスの日なの?それは桃ちゃん副社長と熱ーいチューをしなきゃだね」
「オーナー、それセクハラですよ」
「えっ…?優ちゃん厳しい…ごめんなさい許して?」
「お茶目で可愛いので許します」
オーナーも相変わらず。
優子さんの毒舌攻撃に目を潤ませて許しを乞う辺り、完全に自分の立場を忘れている。
「よし、加賀美。キスの日に因んで特別にチューさせてやろう」
「は?ウザ。俺の麗しい唇が腐る」
「なんだと、この変態眼鏡」
「黙れ、この欲求不満クソ女」
この二人も…相変わらず犬猿の仲だし。
みんな仕事になると一瞬で顔つきが変わるけれど、普段はいつもこんな感じで賑やかだ。
「オーナー、夕方に予約のお客様3名程キャンセル出ました」
「また?やっぱ天気悪いと客足が遠のくね」
いつもは目が回るほど忙しいこのお店も、今日みたいに極端に天気の悪い日はすごく空いている。
都内中心部という場所的に交通機関を利用するお客様が殆どだというのが一番の理由だろう。
今日は大荒れの天気だし…こんな日に家から出るの嫌だよね。
「桃ちゃん、今日は夕方で上がっていいよ」
「え?でも、」
「この調子だとずっと暇だろうし…新婚さんなんだからたまには、ね?」
「…はい。ありがとうございます」
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