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本当は彼女が彼に触った時、私の心の中は黒い感情でいっぱいだった。
彼は私のものなんだから触らないでって、彼女を睨みつけてそう叫びたかったんだ。
実際の私は、そんな気持ち悪いこと一生かかっても言える気しないけれど…
「聡、キス…してほしい」
「え?」
「…今日キスの日らしいから」
「ふーん。そういうの全然興味なさそうなのに…どうした?」
興味ないどころか、バカバカしいとすら思っていたはずだった。
それなのにーーーー
「勘違いだったけど、聡の気持ちが私から離れてしまったと思って苦しかったから…安心させてよ」
「桃華…」
「聡が私だけのものなら、私も聡だけのものになりたい」
私にとってキスなんて、唇と唇が触れ合うだけの無意味な行為だった。
誰と何度重ねてみたって、その意味を理解することなんてできなくて。
それでも、彼は…世界中で彼だけは。
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