after short story 4

4/35
前へ
/117ページ
次へ
あれは遡ること数日前。 その日、私は自分の過去の全てを芽衣子に打ち明ける決意をしていた。 芽衣子と会うのは去年の秋以来。 今更ではあるけれど、これまで嘘を吐き続けてきたことに罪悪感を感じ、誘われても何かと理由をつけて断っていたのだ。 だけど、いつまでもこのままじゃダメだと思った。 芽衣子に本当のことを話したい。 だけど…どんな反応をするのか考えると怖さもある。 ここ数ヶ月、どうにもならないそんな葛藤が心の中で渦を巻いていた。 彼は、そんな私にキッカケをくれた。 私はいつも通りに生活していたつもりだった。 それでも彼は、密かに悩み思い詰めていた私の異変に気付いたのだ。 どうしたのかと聞かれて素直に話し、思いを全部を曝け出したのは、彼には隠し事や誤魔化しなんて通用しないことを知っているから。 ずっと一人だった私が、今では自分の胸の内を明かせて、喜びや悲しみを分かち合える人がいる。 いつのまにか私の中で彼はそれほど大きな存在になっていた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2994人が本棚に入れています
本棚に追加