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あれは遡ること数日前。
その日、私は自分の過去の全てを芽衣子に打ち明ける決意をしていた。
芽衣子と会うのは去年の秋以来。
今更ではあるけれど、これまで嘘を吐き続けてきたことに罪悪感を感じ、誘われても何かと理由をつけて断っていたのだ。
だけど、いつまでもこのままじゃダメだと思った。
芽衣子に本当のことを話したい。
だけど…どんな反応をするのか考えると怖さもある。
ここ数ヶ月、どうにもならないそんな葛藤が心の中で渦を巻いていた。
彼は、そんな私にキッカケをくれた。
私はいつも通りに生活していたつもりだった。
それでも彼は、密かに悩み思い詰めていた私の異変に気付いたのだ。
どうしたのかと聞かれて素直に話し、思いを全部を曝け出したのは、彼には隠し事や誤魔化しなんて通用しないことを知っているから。
ずっと一人だった私が、今では自分の胸の内を明かせて、喜びや悲しみを分かち合える人がいる。
いつのまにか私の中で彼はそれほど大きな存在になっていた。
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