after short story 4

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ミンミンと耳障りなセミの鳴き声が響き渡る真っ昼間。 外に出た途端、焼け付くような暑さの所為で額にはじんわりと汗が浮かび始めていた。 「あっつ…」 「そろそろ交代するか?」 「じゃあそこの角曲がったらお願い」 「分かった」 家から徒歩15分くらいの場所に大きなホームセンターがある。 照りつける太陽の下、私達はそこを目指して歩いていた。 …人生で初めて、“ベビーカー”という得体の知れないものを押しながら。 待って。本当に意味が分からないんだけど。 結衣ちゃんを彼から離すと泣いちゃうから、ここは私一人で買いに行けば済む話なのに。 彼はこんな時まで私を一人で歩かせることを認めてはくれなくて。 やっぱり日下さんを呼ぶと言うから、それは全力で阻止をした。 だって、わざわざ高級車に乗ってホームセンターに行くってどうなの?そんなの絶対有り得ない。 ということで、意見が一致しないまま結局3人一緒に行くことになってしまったのだ。
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