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角を曲がったところで私に代わって彼が颯爽とベビーカーを押し始めると、意外と様になっていて驚いた。
けれど見慣れないその姿は、何だか知らない人のようで…ついチラチラと視線を向けてしまうとすぐに重なった視線。
彼はどこか得意気に、ふっ、と笑んで見せた。
「こんなこともあろうかとベビーカー用意しといて正解だったな」
「嘘、それ買ったの!?芽衣子が置いてったのかと思ってた…」
「海に行くのに子供のものまで持って来てたら大変だろ?だから手ぶらでいいと言っておいたんだ」
「全然知らなかった…絵本にしてもそうだけど、ベビーカーなんていつの間に買ったの?そんな時間あったわけ?」
「いや、さすがに自分で買いに行く時間はなかったから子供がいる社員に色々話を聞いて良さそうなブランドのものを日下に買いに行かせた。絵本も同じく日下に」
「気の毒すぎる…」
まさか彼の付き人兼秘書であるはずの日下さんが、そんな仕事をさせられるだなんて…
命じられた時の日下さんの反応も気になるところだ。
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