2993人が本棚に入れています
本棚に追加
説明するのも面倒だから否定はしないけど、そもそも私は子供が嫌いだ。
だってうるさいし、鼻水やよだれがダーダーのイメージもある。あとは、食べ物を溢したり部屋をグチャグチャにしたり…想像しただけで面倒くさい。
そんなの私には絶対無理。だからこそ、芽衣子は毎日すごいなって思う。
「どれがいい?」
「じょーしゃ、じょーしゃ!」
「じょーしゃ…?ああ、ぞうさんか」
「じょーしゃ!」
無理だけど…彼の問いかけに対してゾウの滑り台が付いたプールを必死に指差す結衣ちゃんは素直に可愛いと思う。
きっと親友の子供だから、という贔屓目もあるだろうけど。
「じょーしゃ、かうー」
「そうだな、買おう」
それに何よりも気になることは、意外にも彼が子供を好きだということ。
人の子供をこれだけ可愛がるんだもん。
これがもしも自分の子供だったら…
「桃華、あのプールにしようと思うんだけど」
「…」
「桃華?どうかしたのか?」
「ううん、何でもない。結衣ちゃん気に入ってるみたいだしあれを買って帰ろう」
私が言うと、彼は良かったな、と結衣ちゃんの頭を撫でる。
ベビーカーに乗る結衣ちゃんと目線を合わせるようにしゃがみ込み、優しい眼差しを向ける彼に…
少しだけ胸が痛くなるのを感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!