after short story 4

14/35
前へ
/117ページ
次へ
説明するのも面倒だから否定はしないけど、そもそも私は子供が嫌いだ。 だってうるさいし、鼻水やよだれがダーダーのイメージもある。あとは、食べ物を溢したり部屋をグチャグチャにしたり…想像しただけで面倒くさい。 そんなの私には絶対無理。だからこそ、芽衣子は毎日すごいなって思う。 「どれがいい?」 「じょーしゃ、じょーしゃ!」 「じょーしゃ…?ああ、ぞうさんか」 「じょーしゃ!」 無理だけど…彼の問いかけに対してゾウの滑り台が付いたプールを必死に指差す結衣ちゃんは素直に可愛いと思う。 きっと親友の子供だから、という贔屓目もあるだろうけど。 「じょーしゃ、かうー」 「そうだな、買おう」 それに何よりも気になることは、意外にも彼が子供を好きだということ。 人の子供をこれだけ可愛がるんだもん。 これがもしも自分の子供だったら… 「桃華、あのプールにしようと思うんだけど」 「…」 「桃華?どうかしたのか?」 「ううん、何でもない。結衣ちゃん気に入ってるみたいだしあれを買って帰ろう」 私が言うと、彼は良かったな、と結衣ちゃんの頭を撫でる。 ベビーカーに乗る結衣ちゃんと目線を合わせるようにしゃがみ込み、優しい眼差しを向ける彼に… 少しだけ胸が痛くなるのを感じていた。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2993人が本棚に入れています
本棚に追加