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「もしもし。ああ、律?お疲れ。え?…悪い、今日は携帯の電源切ってたから」
仕事の手を止めることなく、彼が電話の相手だと思われる律くんに放った言葉にハッとした。
そういえば…いつもなら鳴り止まない彼の携帯が今日は一度も鳴らなかった。
それは携帯の電源を切っていたから…?
「それはもう終わってるから大丈夫。夕方までにデータ送ってくれればそっちも今日中に片付けるから。じゃあ頼むな」
一つ仕事が終われば、またすぐに仕事が舞い込んでくる。毎日そんな繰り返しで気が休まる暇もない。
それほど彼はたくさん仕事を抱えてて忙しいのに、どうして他のことまで頑張るんだろう。
私のこと、芽衣子のこと、結衣ちゃんのこと。
どうして…そこまで他人のことで一生懸命になれるんだろう。
いくら考えたって私にはその答えが分からない。
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