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「だから…これはもしもの話だけど、自分がいつか父親になったら子供には自分がしてほしかったことをたくさんしてやりたい」
「自分がしてほしかったこと…」
「うちの父のように子供に仕事をしている父親の背中を見せるのも悪くはない。でも俺は…真正面から笑った父を見たいってずっと思ってた」
バラバラになったパズルのピースが綺麗に嵌まっていくような感覚だった。
彼が結衣ちゃんに優しく語りかけるのも、
目線を合わせるのも、頭を撫でるのも、
笑いかけるのも…
幼い頃、彼が父親にしてほしかったことだったんだ。
それだけじゃない。
結衣ちゃんの前で仕事をしなかったり、
携帯の電源を切っていたのは…
きっと、寂しかった過去がちらついたから。
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