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私が母にしてほしかったことって何だろう。
考えていると、部屋の隅で膝を抱えていた幼い自分の姿が頭に浮かんでくる。
あの頃の私は…特別難しいことなんて望んでなかったと思う。
目が覚めたとき、隣にいてほしかった。
手を繋いでみたかった。
抱きしめてほしかった。
褒めてほしかった。
一緒にご飯を食べたかった。
一緒に笑ってみたかった。
一緒に眠ってほしかった。
ただ…愛してほしかった。
たったそれだけのことなのに、叶うことなく粉々に砕け散ってしまった小さな願い。
難しくはないのかもしれない。
けれど、人を愛することは決して簡単なことではないのだと知っているから。
もしも子供を上手く愛せなかったら?
もしも私の子供時代と同じ思いをさせてしまったら?
そう思うと…怖くて不安でたまらなくなる。
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