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特にすることもないから、そのまま眠る結衣ちゃんをボンヤリと眺めていた。
起きている時だけではなく、寝ている時だって子供の表情はコロコロ変わるから見ていて飽きない。
「ママぁ…」
ついさっきまで笑っていた結衣ちゃんは突然眉を下げ、泣き出しそうな声でママを呼ぶ。
そっか…やっぱり寂しいよね。
眠りながら小さな手を動かす結衣ちゃんは、きっと芽衣子を探してる。
私は子供の扱い方なんて知らない。
だけどね、知ってることもある。
それは、不安なとき手をギュッてしてもらうと…安心するってこと。
ママを求めては虚しく空を切る手を取り、握ってみる。
それをすぐにキュ、と握り返した結衣ちゃんの寝顔はまた穏やかなものになっていた。
「ママ…だいしゅき…」
愛した分と同じくらい子供も母親を愛してくれる。
結衣ちゃんの真っ直ぐで、真っさらで、真っ白な無垢の愛に心を動かされた気がした。
芽衣子…子供ってすごいんだね。
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