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「結衣、ご迷惑おかけしませんでしたか?」
「いや、全然。遊び疲れたのか今はよく寝てる」
「そうなんですか…良かった。おかげさまで夫婦水入らずで楽しめました」
「それはよかった」
「本当にありがとうございました」
部屋を出て長い廊下を進み、玄関に近付くと聞こえてきたそんな会話。
頭を下げながら彼に何度も繰り返しお礼を言う芽衣子の声はとても嬉しそうだった。
「芽衣子おかえり。楽しかった?」
「桃華…ただいま!」
彼の隣に並んだ私がそう声を掛けると芽衣子はすぐに顔を上げる。
目と目が合えば、今度はこちらに嬉しそうな声が届いた。
「もうね、二人だと気分が全然違って全てが新鮮で…とにかくすっごく楽しかったの!」
「そっか。嬉しそうな芽衣子を見れて良かった」
ほんのり日に焼けた肌と眩しい笑顔。それが今日の充実さを証明しているようだった。
いつも愚痴ってる旦那さんへの不満が完全になくなったのかは分からない。
それでも今の芽衣子は生き生きしてて輝いていて幸せそうで…
人の喜びが自分の喜びなんて、結婚する前の私なら有り得ない感情だったのに。
今では芽衣子が嬉しそうだと私まで嬉しくなる。
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