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「さっき聡が“自分がしてほしかったことをしてあげたい”って言ったとき、自分の子供の頃のこと思い出してた。私も…してほしかったこと、たくさんあったよ」
「…そうか」
「いい母親になれるか分からないけど、私もいつか聡との子供…欲しい。だから、私がお母さんになったら色々教えてねってさっき芽衣子に言ったんだ」
隠し事ではなく、ただ単に恥ずかしかったから耳打ちで芽衣子に伝えた言葉。
それを彼に伝えた瞬間、掴まれていた腕を引かれるように私は彼の腕の中へと導かれていた。
「今でも充分幸せだけど、いつかそんな未来を歩けたら…最高に幸せだな」
「うん」
日々の当たり前は奇跡の連続からできている。
愛する人と一緒にいられることも、
子供を授かることも、
元気に生まれてきてくれるのも、
スクスク育ってくれるのも、奇跡だ。
だからその一瞬一瞬を逃さないように、後悔しないように。
今は二人の時間を大切にして、いつか訪れるかもしれない小さくて大きな奇跡を彼の隣で待っていたい。
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