after short story 5(律side)

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「多分、桃華は子供の頃サンタとか来たことないだろうから今年のクリスマスは喜ばせたいなと思って」 「いや、冷静になってよ。おねーさんがそんなの喜ぶとは思えないんだけど」 広すぎるリビングでいい歳した兄弟がサンタの話をするなんて、ちょっとおかしいと思う。 ちなみにおねーさんは今日は仕事が抜けられなくて不参加。この時期の女の子達はクリスマスに備えて美容院に通いつめ、髪の毛の手入れを念入りにして綺麗に変身するんだとウンザリした感じでおねーさんが話してた。 あの人、そういうイベント事に興味なさそうだしね。だから余計にサンタを買うなんて発想は有り得ないわけで。 「じゃあどうやったら喜んでくれると思う?」 だけど、目の前の兄は至って真剣。 これだから恋愛経験のない人は怖い。 愛を知った途端、己を信じて突っ走っちゃうんだもん。 「うーん、兄さんがサンタにでもなれば?」 「俺が?」 「うん。訳わかんないオッサン買うよりいいでしょ」 「なるほど…そうだな」 昔は弟の俺に意見を求めたりしなかったし、俺の意見を素直に聞き入れることもしなかったのに。 一人の人間をここまで変えてしまうなんて、結婚てなんなの?そんなすごいの? もはや俺には恐怖でしかないんだけど。嫌だ、絶対結婚したくない。
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