after short story 5(律side)

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食卓にズラリと並ぶのは父の好物ばかり。 和食メインか…今日はフレンチの気分だったのに。 「聡、近況報告を頼む」 「はい。仕事に関しては何の問題もありません。今年は新商品の開発にも力を入れたので来年にはその成果が出るかと」 「なるほど。今後の予定は?」 「先日電話でもお伝えしましたが、うちのブランドの商品を扱った大規模なファッションショーが世界10カ国で予定されています」 「おお、そうか」 はぁ…食事中に仕事の話されると気分が落ちる。 この二人は仕事人間だからいいかもしれないけど、基本適当に生きてる俺には苦痛なだけだ。 久しぶりの家族の時間なのに既に疲れを感じてる。 それでも二人の顔を交互に見て、笑顔で相槌を打つ俺は世界一空気の読める人間かもしれない。 「それで律はちゃんと仕事してるのか?」 「俺は相変わらずですよ。所詮はお飾りなので」 「またおまえは…」 「それより食事中に仕事の話はやめません?不味くてしょうがない」 憎たらしいくらいの笑顔で言ってやった。 空気を読むだけが賢いとは限らない。 温厚な父は少しムッとした顔してるけど、そんなことは気にもせず目の前にある鯛の塩焼きをパクパク食べた。 同じ鯛ならポワレの方が良かったな…なんてどうでもいいことを考えながら。
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