after short story 5(律side)

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結婚してからの兄は、これまでになかった柔軟性を身に付けたようで人を認めることを覚えたらしい。 一般的に考えると素晴らしいことなんだけど調子狂うからやめてほしい。威圧感たっぷりでいてくれた方がバランス取れるのに。 「桃華仕事終わる頃だしそろそろ帰るか。日下呼ぶから律も乗ってくといい」 「んーん、いい。遠慮しとく」 冗談じゃない。 俺の目の前でおねーさんにデレデレしたり、イチャイチャされたら嫌だし。 そんな兄なんて絶対見たくない。 昔は違った。こんなのじゃなかった。もっとこう、人を寄せ付けないかっこよさがあったのになぁ… 「そうか?じゃあ気をつけて帰れよ」 「うん。あ、そうだ」 「なんだ?」 そうか、分かった。 このモヤモヤした気持ちは全部おねーさんのせいだ。兄を馬鹿にならせて、こんなに変えてしまって。 「おねーさんに近々Roadway行くからって伝えといてよ。髪切りたくてさ」 「分かった。伝えとく」 「よろしくー」 これはもう直接対決するしかないよね。 おねーさんにちょっと意地悪してやろっと。 じゃないと俺の気が済まないや。 兄の背中にヒラヒラと手を振りながら、俺は最高にウキウキしていた。
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