after short story 3 (聡side)

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「ただいま」 家に帰ると、部屋中に美味しそうな匂いが漂っていた。 キッチンで食事の支度をしていた彼女は、俺の声に反応するように一瞬だけ顔を上げて、 「…おかえり」 小さな声で愛想なく、だけど約束通り挨拶を交わした。 彼女の生い立ちを考えると、こんな風に“ただいま”や“おかえり”と挨拶を交わすのは、きっと慣れないことなんだと思う。 その証拠に結婚して半年以上過ぎたというのに未だに挨拶がぎこちないし視線もほんの一瞬合うだけ。 それも不器用な彼女らしいとは思うけど… 俺としてはそれじゃ物足りない。
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