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塚本さんが前に踏み出したので、鞄を握りしめた私の左手が下がる。
「っ!」
塚本さんの両腕の中に、私はスッポリと納められる。
「不安にさせたよな。いつも、沙映から言わせてごめん!それと、ありがとう!」
目の奥が、ジンと熱くなる。ダメ!泣かないんだから!
目を閉じて、塚本さんの広い胸に額を押し付ける。ゆっくり呼吸すると、塚本さんの香りで充たされる。
顔を上げて微笑むと、塚本さんも微笑み返してくれた。
「沙映、今日、一緒にお泊まりしてください!」
「はい!」
私は、大きく頷いた──
END
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