第1章 セクシーサービス事始め

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こういうアドバイス、ネットでやり取りしてる時にも青山くんからしてもらったな。わたしは半分拗ねるようにグラスを揺らして肩肘をついた。 「何か書くべきかな、とは思ったけど。思えばわたし、別に書きたいことなんか。何もないんだもん…」 自分を表現したいなんて衝動ももともとないし。ましてやゼロからフィクションを作り出すとか、とんでもない。青山くんや他の人のブログを読んだり大好きなミステリやノンフィクションを読んでる方がずっと楽しい。 書くようになってから自覚しても遅いけど。わたしはどうやらクリエイトするサイドの人じゃなくて消費する側の人間らしい。まあ、わたし程度のもんの書いた記事、そもそもクリエイティブ要素なんか薬にしたいほどもないけどさ。 手を軽く上げて次の一杯を注文した青山くんは訳知り顔に頷いてみせた。 「わかるよ、向井は別に何か書きたくてたまらないってわけじゃないんだ。とりあえずの飯の種なんだもんな。そしたら金にならない文章なんて書く気にならないのは当たり前だよ」 あまりにもはっきり言われて思わず憮然と腕を組む。 「それって、非難してるの?こういう奴が物書き面してるのってやっぱ不愉快?」     
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