第1章 セクシーサービス事始め

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言われてることは掛け値無しの事実だから反駁のしようがない。人と関わらないで済む仕事、って発想がもう後ろ向きだし。やってみる前は国語の成績も悪くなかったし、マスコミの仕事に憧れもあったから何とかやれるかもって思ってた、のに。 本を読むのは今でも大好きなんだけど。自分が同じように何かを作り出せる気が最早しない…。 青山くんは生真面目な顔で否定してみせた。 「非難してるわけじゃないよ。こういうやり方で生活してこうと思った、ってだけでいいも悪いもないじゃん。だけど、ライターとしてこれからもやってく気なら真剣に何か自分の売りを考えた方がいいな。体当たり取材とか、まあそりゃ向井には無理か。コミュ障なんだもんな。そしたら独自の視点や切り口を見つけるとか、得意分野を絞るとか。…そうだ、独自の視点で思い出した」 唐突にぱっ、と明るい表情でこちらに向き直った。なんだその急激な話題転換。 「お前、『全裸家事主婦』って知ってる?」 「ふぇ。何それ?新手の風俗かなんか?」 わけがわからないなりにその言葉に含まれた『全裸』の文字に反射的に引く。青山くんは慌てて手を振って説明を付け加えた。     
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