第1章 セクシーサービス事始め

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わたしたちはしばし黙って自分の飲み物を味わった。ああ、脳裏にエプロン一枚つけた全裸の甲斐甲斐しい主婦が…。いらん想像力ついた。それともこの一枚のエプロンも彼女らからしたら邪道なのか? 「誰かに頼んでやってもらう、試してもらうってことも考えたんだけど…。例えば謝礼とか出してさ。取材ってことで」 「取材費が出せる方はよいねぇ」 わたしは肩を竦めた。わたしなんかそれどこじゃない。 「でもさ、それってどうやってほんとにその人が実践したか確認すんの。だって、やってみました、解放感があって気分よかったですよぉとか適当なこと言って謝礼だけもらっても全然わかんないじゃん。それならわたしでもできるよ。だってまさかさ、証拠写真出せとか画像提出しろとか言えないもんね?目の前でやって見せてくれとかさ、はは」 ほとんど茶化すつもりでそう言うと奴は何故か首から上を真っ赤にした。あんまり見たことない顔色に思わずまじまじと目を向けてしまう。どういうわけか意を決したようにひたとわたしを見据え、口を開こうとする。なんか…、あんまり聞きたくない、感じ。かも。 思わず遮る。 「大丈夫?酔ってるんじゃないの、青山くん。変なことうっかり口走る前に」 お開きにしとこうか。そう続けようとしたのを察したか、奴はその前にときっぱりと強い声で切り出してきた。 予防線を張り損ねた。     
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