第1章 セクシーサービス事始め

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「いやいや…、あのさ。これはふざけた話じゃなくて。真剣に、まじなんだけど。…向井、俺の目の前でそれ、やってみてくれる気ない?勿論言うまでもなく謝礼は弾むよ。…俺を救うと思って、さ」 「取材どうこうを離れちゃうんだけど、実は」 絶対やだ無理、あんた何考えてんの?とかいやちょっと待て、落ち着いて冷静に話だけでも、とのパニック混じりのすったもんだが言うまでもなくしばらく続き、やがてとにかく弁明だけでも聞いてやろうという気にはなったわたしに向かって奴がぽつぽつと打ち明け始めた。 「なんか俺、オブセッションがあるみたいで。女の子の普段の飾らない、何でもない日常を覗きたいって欲望が極端に強いみたいなんだよね」 「…窃視症?」 思わず唖然として呟く。そんなわけないだろ、失礼だなと怒り出すかと思ったら青山くんは気まずそうにごもごもと言い訳するのみだった。 「別に覗きとか盗撮とか、そんな犯罪行為に及んだことはないよ、さすがに。でも覗き部屋とかそういうコンセプトにはぞくぞくする方だから、もともと」 「…覗き部屋?」 「あるんだよ、そういう風俗が。でもあれはなんちゃってにも程があるから。本物のなんてことない無意識の日常の女の子が見られたらなぁ、って願望は正直あって…」 それってやっぱリアルには覗きか盗撮しかないじゃん。わたしは内心どん引きでともかくも話を聞いていた。     
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