第1章 セクシーサービス事始め

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「そんなのどっちでもいいよ、床なんか。お前、わかってんのかよ。俺は女の子がせっせと家事をしてるとこが見られればそれでいいの。振りでいいんだよ、ちゃんとできてるかどうかなんて関係ない。…あ、ねえ。このあと風呂掃除も見せてもらっていい?屈んだり伸び上がったり、大胆な格好見せつけてよできるだけ。…ああ、いいなぁお前の身体。そうやって動いてるとあちこち揺れてはみ出しそうで、結構きわどい…」 失礼だな!言うに事欠いて。 どっちかというとそんなに贅肉ない方だと思うけど。別に、どこもはみ出てないよ。 それでもちょっと気になって裾や食い込む布地なんかをつい引っ張って直す。どういうわけか、そんな何でもない仕草も奴を刺激したらしく、喉を鳴らす音が静かな部屋に響いた。なんか、…微妙な気分。 青山くんは我に返ったように前のめりに椅子の上で身を乗り出した。 「あ、なあ、ものは相談だけど。この縄、ちゃんと解いてくれる?風呂場へ移動する時は。絶対にここに俺のこと置き去りにすんなよ。鑑賞者抜きで掃除だけ済ましたってしょうがないんだからな。いくらぴかぴかに磨き上げても謝礼出してやんないぞ、そんなことしたら」 何がいけないかって、多分わたしの対人スキルに相当な問題があるんだろう。 大学を出て普通に就職した。そこそこの知名度の学校で文学部、いくら売り手市場とはいってもそんなに贅沢も言ってられない。本を読むのは好きだけどあまり聞いたこともない名前のごく小さな出版社。だけど念願のマスコミだ、編集者になれるんだと思ってわくわくしてた。世間知らずで実際甘ちゃんだった。     
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