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「だからか全裸家事の話を知ったら、以来もう頭の中それで一杯になっちゃって。最初はそういう嗜好の人からリアルな話を聞くだけでもいいと思ってたんだけど、お前の言う通りこれがなかなか、思うようにいかないし。だったらせめて、頼まれてでもいいから実際にそれ、実演してくれる人がいたらなあとか一度思いついたらもう止まらなくなっちゃってさ。…向井、ぶっちゃけた話最近苦しいだろ、経済的に?」
そこ衝いてきたか。わたしは既に半身以上椅子から引いた状態で用心深く相槌を打つ。
「そりゃ、まあ」
今まで住んでる部屋の家賃は現状の収入からするともう正直厳しい。学生時代から住んでた狭いぼろ部屋からバブルの時期に思いきって引っ越したセキュリティ付きマンションだから。ああ、あのまま外階段付きの鉄筋アパートにいるべきだったのか。まさかこんなに早く状況が変化するとはなぁ…。
かといって今は引っ越し費用捻出も難しい。動くに動けない状態だ。
そうは打ち明けてないが普段の話し振りから苦境を何となく察知してる青山くんは、そこにつけこむように必死にねじ込んできた。
「頼むよ、こんなこと誰にでも頼めるってわけでもないし。お前なら俺に変な下心ないってちゃんと理解してくれるだろ。ほんとに掃除したり料理したりするとこ見せてくれさえすればいいんだから、単に。謝礼も弾むからさ」
「いやぁ…、そんな、食い下がられても」
わたしはいつの間にか空になっていたグラスを縋るように握りしめた。普通に居心地悪い。
「お金もらったから引き合うってもんでもないでしょ。だって、裸…でしょ?無理むり、絶対ない」
「言い値でいいよ。いくらならOK?」
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