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奴はわたしの言葉をじっと反芻するように黙り込んだ。
「…まぁ…、そりゃ、そうかあ。確かに、お互い気まずくなりかねないかもな。こっちもそれからはお前と逢うとその光景が脳裏にちらついちゃうもんな…」
ほら見ろ。絶対やだ。
「よし、じゃあ下着。下着で家事で十万。それならいいだろ。結構悪くない条件じゃないか?」
わたしはふるふると頭を横に振った。
「それってブラとパンツってことでしょ。駄目、無理。十万もらってもあんたと二人きりの部屋でそんな格好になるの嫌」
「高いな、お前」
「値段どうこうじゃないの。裸とか下着が嫌だ」
奴は食い入るようにわたしから目を離さない。まじちょっと怖いぞ。
「じゃあ譲歩する。…水着は?」
「下着と露出度変わんないじゃん!」
わたしはほとほと困り果てて言い返した。
「だから、他の人に頼みなって。何でわたし?生活に困ってたってできることとできないことがあるよ。だいいち、大した身体じゃないよ。胸も言うほどじゃないし。絶対風俗のひととかの方が見栄えするって」
そう言って突き放そうとすると、奴は眉根を寄せて考え深げに呟いた。
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