第1章 セクシーサービス事始め

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「うーん。…そういうんじゃないんだ、求めてるのはさ。だって、それじゃ風俗の覗き部屋と一緒だろ。俺が見たいのはプロの裸じゃないんだよ。胸のサイズなんかどうでもいい。それよりその辺の何でもない、普通の女の子のありのままの日常が見たいんだ、どっちかっていうと。服のありなしじゃなくて…。よし、わかった」 青山くんは男らしくきっぱりと顔を上げて断言した。てか、何の意味もない男らしさだ。惚れ惚れともしないし、こっちも。 「露出は諦める。ちゃんと服着てていいよ。ただ、俺の存在を無視して一人きりのつもりで黙々と掃除とか洗濯とか洗い物してるとこ見せて。てか、時間内ずっとせかせか働く必要ない。のんびり休憩取りながら二時間。これでどうだ」 わたしは疑い深く目を細めた。だいぶ譲歩してきたのはわかるが。 「…服着てていいんだ」 「いいよ、それは。その代わりさすがに十万は出さないけど。まあ家事のデリバリーサービスってことで、相場に色はつける。作業ずっと隈なくじっと観察させてもらうから、その分は上乗せするよ」 それ、何が面白いの? だけどわたしはそこで初めてちょっと真面目に検討してみた。普通に服着てていいんなら確かにただの家事の宅配だ。 「…特に、家事上手いとかないよ。ど素人のもたもた要領悪い手際でしかないけど、間違いなく」 奴はだいぶ勝算ありとみたのか、急に元気を取り戻して肩をそびやかした。     
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