第1章 セクシーサービス事始め

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それが本当に自分のしたかったことなのかとかはもう考えなくなっていた。だって、割り切って作業に徹すればそれだけ捗って次の注文にも繋がる。考えるより仕事した方が早い。わたし程度でもこれだけ仕事をもらえるならこの先も充分やっていける、やっと居場所を見つけたって気がしてた。 最盛期は長くは続かなかった。バブルはあっという間に弾けていい加減なキュレーションサイトは突然ばたばたと閉鎖を余儀なくされる日がやってきた。 わたしが運営から示唆されたようなやり方、つまりよそで記載されてるものを引っ張ってきて無断でコピペするような記事の作り方が盗用だと騒ぎになったのだった。健康や病気に関する情報なんかは根拠のなさ、無責任な間違いも叩かれた。ちゃんとした監修が入ってないとか何とか。わたしはそんなのを書いたことはないけど身体の不調は霊のせいかも、って記事もあったらしくこれはちょっと笑った。ずいぶん大胆なライターもいたもんだ。 しかし笑ってる場合ではない。医療サイトに限らず、記事や写真を許可なく切り貼りすること全般が問題になったので、わたしがそれまで推奨されてたような方法は全部駄目になったってことだから。その手のサイトがリニューアルと称してどんどん閉鎖されていくのも打撃だったけど、本当の問題はこっちだったかも。 ライターになって早い時点でそういうやり方でいいってことになっちゃったから。きちんとした記事の作り方なんかもともと知らない。     
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