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第二話 お仕置きは躊躇いなく
(愛の夢)
薔薇色に溶ける宙。
白く輝くカナディアンロッキーの山々が、その明けの色に染まる。
セイラは、ゆっくりと目覚めた。
今朝は気分が良い!
「‥あれっ・悪阻がない・・」
何処までも清らかな雪景色が窓の外に広がる。主寝室の巨大なベッドの上で目覚めた。
何故か、独りで。
「恒星、どこ・・・」
横に伸ばした手に、冷たいシーツの感触が伝わる。
毎朝の、目覚めのキスが無い。
恒星を探して、身体を起こした。
ベッドの上にはセイラが独り寝ているだけの部屋。
セイラはベッドを降りて、素足で冷たい床を踏んで主寝室を出た。
扉を開けて、廊下に出る。
少し開いたままの隣のベッドルームのドアが・・セイラを誘った。
覗いた部屋のベッドの上で、独りで眠る恒星を見付けた。
「なんで、独りで寝てるのよ?」
部屋の中に滑り込むと、ベッドに眠る恒星に歩み寄る。
頬を突いてみても反応しない。
何か寝言を言って、少し笑った。
夢を見て笑みを浮かべる恒星が、ふいに許せなくなった。
「ねぇ~・お眼ざめのキスは如何したのぉ」
ベッドにのぼって、恒星の身体を押さえ付けた。伸し掛かると両手を押さえ、お小言の雨を浴びせる。
まだ目覚め切れない眼差しを、緩く彷徨わせる恒星。
焦点の合わない眼差しが可愛い。
「セイラ・・」
かすれた声で、セイラの名前を囁いた。
セイラの身体に腕を回して抱き寄せる。
「こんな所に独りで寝てるなんてぇ・・アタシが寂しいじゃないのォ」
少し怒った声で、キスを強請るセイラ。
「ああ・・セイラ・」
呻いて頬を包んだ恒星の手が、心なしか震えている。
身体を起こすと、セイラを身体の下に敷き込んだ。
「僕が解るのか」
言っている意味がサッパリ解らない。
「何を言ってるのよ。私の旦那様の恒星に決まってるじゃないの・・ウッウ・・」
恒星の腕が鉄の輪のように締め付ける。
いきなりセイラの唇を熱く奪って、酸欠に為るまで放してくれなかった。
ベッドからセイラを抱き上げて主寝室に運び込むと、ドアを閉めて鍵まで下ろした。
巨大なベッドにセイラを押さえ込むと、熱く伸し掛かる。
無言でセイラを愛し続ける恒星に降参!
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