雨は絶えずして雲を晴らす

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 的中した。しかも今度の穴は中央に近くてかなり大きい。  ――あれ?  違和感を覚えた。臭いが、ない?  レインコート一つで雨を凌ぎながら、私は今朝の教室の様子を思い起こした。  クラスメイトの三分の一はもう来ていたが、あの三人組はいなかった。特に変わったことは……男友達と話しながら、私にウインクをする泉。……変なの思い出してしまった。 「誰泉でしょーかっ!」  変なのに目を隠された。 「ごみずみ」 「今のは心にきたぜ……。また穴開けてんの?」 「私が開けたんじゃないよ。誰かさんの仕業」  誰かさん、を強調して言った。 「その言い方じゃ、まるで犯人が近くにいるみたいだな。あ、え!? まさか見張られてるの!?」 「とぼけないでよ、泉」  信じたくない。 「なんでその手、香水の臭いがするの?」
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