2章 祈り

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2章 祈り

 長いこと日照りが続いていた。田畑からはすっかり水が引いて、 乾燥した土を地割れが引き裂いている。  村人はみな絶望に天を仰いだ。 両の手を重ね合わせ、恵みの雨をこいねがう。 願いが聞き届けられることはなかった。 じりじりと照り付ける太陽に、生命は乾き、渇き、死んでいく。 最初に力尽きたのは獣。野良犬や猫が干からびた後、 やがて牛、馬と言った家畜まで。いまや滅びの時は刻一刻と迫っていた。  ついには人が渇いて腐る中、少女は村を駆け出した。 村から少し離れた森の中にひっそりと(たたず)む小さな社。 何の神様かは知らない。でも、拝むならここだと思った。  少女は祈る。神様どうかお願いします。水をください。雨をください。 どうか、どうか、どうか、どうか。
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