3章 破滅

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3章 破滅

 三日三晩、少女は祈りを捧げ続けた。 寝ることもなく、休むこともなく。ただただ神に祈り続けた。 喉が()れても。目が落ちくぼんでも。体が動かなくなってきても、 少女は祈る両手を崩そうとはしなかった。  神の体内で、力の奔流(ほんりゅう)がうねりを上げる。 久しく感じていなかったその脈動に、神は身を震わせて恐怖した。 『お願い、もう止めて。このままでは貴女の命が尽きてしまう』  少女は(わら)った。 「命を捧げる程の信仰なら、きっと貴女の力になれるでしょ?」  少女の言うとおりだった。力が満ち満ちていく。 流れ込んでくる、流れ込んでくる、流れ込んでくる、流れ込んでくる。  まるで少女の命を吸い取っているかのように。  神は戦慄(せんりつ)した。そして気づく。少女の終わりが近づいているのだと。 このままでは、少女の祈りは忌まわしい儀式へと変貌(へんぼう)してしまう。 それは少女の命を贄として、(おぞ)ましく(けが)れた力を得る儀式。 『お願い……お願いだから、もうやめてっ……!!』  声を震わせ嗚咽(おえつ)する。その神の手を両手で握り、 少女は安らかに微笑んだ。 「ごめんね。後は、よろしくね」  次の瞬間、少女の首が力を失う。 ごとり。生き物から物体に変わった彼女の頭が、 地面へと叩きつけられた。
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