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気を失っていた俺をどうやら心配してくれていたらしい。
しかしあまりの出来事に頭が真っ白になり、すぐには答える事が出来ない。
「お前はそこの噴水のそばに倒れていたんだ」
太い人差し指が差す方を見ると、立派な噴水が見える。
確か公園にいたはずだが……
見渡すとレンガ作りの建物や石造りの建物が建ち並んでいる。足元には石畳が規則正しく並んでいる。
ここは広場だろうか。
すぐ近くには大きな葉をつけた巨木があり、俺のいる場所は日陰になっている。
どうやらここまで運んでくれたらしい。
「えーと。ありがとうございます」
素直にお礼を述べる。
「気にするな。困った時はお互い様だ。ウホッ。」
お礼を言われて嬉しいのか胸を叩きながら、ウホウホ言いながら小さくジャンプしている。よく見ると腰には黒い布を纏っている。
まさかドッキリか?
しかし目の前のゴリラはとても着ぐるみの様には見えない。
意識が段々とはっきりするに連れ、公園での出来事を思い出してきた。
悲鳴、そして徐々に消えていく身体。
もしや、これは、つまり。
「異世界」ってやつじゃないのだろうか!!
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