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この世界は,ロスタシア大陸と東に位置するキエール島からなる。
互いの領土を奪い合う4つの国,身の守りに徹する1つの集落及び国境を越えて人が行きかうアストスという文化都市がある。
アストスでは、純粋に化学、物理、医学、文化などの研究が行われている。
デルグ王が統治するデルグ王国はロスタシア大陸の北西に位置し,エルム王が統治するエルム王国は北東に位置する。
最も強大な領土を持つゲイメン王が統治するゲイメン王国はロスタシア大陸南部全てを統治している。東にあるキエール島は,キエール王によって統治されている。
4つの国の王が不戦条約を締結して13年後…
【エルム王国内の農場】
1日中大雨だった。
エルム王国内では年貢の徴収のため,エルム兵が農村を回っていた。
6人の騎馬兵が徴収のためビフコムという農民宅にやってきた。
兵士1人がビフコムにぶしつけに言った。ビフコムの横に1人息子(ナザル17才)がいる。
兵士A:「今年から、年貢の徴収率を引き上げたが、お前のところは、従前通りの供出しかなされていない。お前のところだけ不作か?」
ビフコム:「すみまん。私には病に伏す妻がおり、妻の病気を治すためにはアストスで治療してもらうお金が必要なのです。来年から徴収率通り、お納めしますので、どうか今はお待ち頂けませんか。」
兵士B:「だめだ。お前ら農民は王への忠誠のみが生きる価値なのだ。病いに伏した妻がどうしたというのだ。」
ビフコム:「お願いします。エルム王への忠誠はいささかも揺るぎません。」
兵士A:「エルム王に代わり我々が許さぬと言ったのだ。言うことを聞かなければ死ぬだけだが。」と言って鞘から剣を抜いた。
ビフコム「お願いしま・・・」
と言いかけたところで、兵士Aは剣でビフコムの首を切った。
ナザル:「お父さん!!!」
ビフコムの首から大量の出血が流れ,彼は倒れた。
兵士Bは,笑みを浮かべながらナザルに「お前も父親の後を追うか?」と言った。
ナザルは、恐怖で身体中が震えて何もできないでいる。
兵士A:「お前が父に代わり、来年から作物を供出しろ。」
と述べて、馬に乗り兵士達は去っていた。
ナザルは何もできなかった。涙なのか雨なのか顔はビショ濡れだった。
その2週間後、彼の母親は病により亡くなった。
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