ウィルの誕生

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【デルグ王国デルグ城にて】  この日も大雨が降っていた。    デルグ王のもとに弟のベルモザがやってくるなり言った。 ベルモザ:「兄さんおめでとう。ついに跡継ぎが出来ましたね!ナリーサ(デルグ王の妹)も喜んでいますよ!」 デルグ ;「ありがとう!ついに男の子だ。」 ベルモザ:「名前はもう決めたのかい?」 デルグ :「妻と話し合って「ウィル」に決めたよ。」 ベルモザ:「ウィルか!いい名前だね。姉のエナはどこに?」 デルグ :「産後だ。疲れて休んでるよ。」  そこに突然、デルグが最も信頼するリューブ将軍が入ってきた。大柄のリューブは顔には黒いゴーグルをかけ髭を伸ばし、黒の兜と鎧とマントを身にまとっている。おもむろに机の上にロスタシア大陸図を広げ,口ひげをいじりながら言った。   リューブ将軍:「デルグ。南にいるナリーサから、我々との国境付近にゲイメン兵が集結しているとの情報が入った。しかも奴らは何か大きな兵器を配置しているという。ゲイメンの奴、13年前の条約を破棄して越境する気だろう。」   ベルモザ:「リューブ将軍。今日、兄が長男を授かったのだ。祝福の言葉くらいないのか。」   リューブ将軍:「そういうことに興味はないのは知っているだろう。」   ベルモザ:「リューブ将軍もロスタシアの歴史を知っているでしょう?過去100年以上の殺し合いには全ての国王が辟易した。どこかが攻めれば,その間にどこかに攻められる。それがロスタシアの歴史だ。ゲイメン兵は訓練のために集結しているだけさ。」 リューブ将軍:「フッ。お前らが不戦条約を結んだ相手は、ゲイメンの親父だ。親父が死に,殺戮の歴史を知らない若輩は読めん。」    デルグ:「そうだな。ゲイメンの子が考えることは分からない。念のため、こちらも東側エルム国境付近の駐屯兵の一部をまわし、南を増強しよう。」 リューブ:「それでいい。」 ベルモザ:「じゃあ、私から東部を統括するシルビ将軍に南に兵を回すよう指示しておくよ。」 デルグ王:「シルビ将軍に5000兵を回すよう指示してくれ。」 ベルモザ:「了解したよ。」
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