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【デルグ領の城】
デルグ王とリューブ将軍がいる王の間に,キエール国の高官3名が入ってきた。
キエール国の高官3名に向かってデルグは言った。
デルグ:「わざわざ,長男誕生の祝福ため,祝いの品々をありがとう。」
エイメン高官:「デルグ王に跡継ぎができたことにキエール王も大変に喜んでおりました。キエール王の代理で恐縮ですが、私は,キエール島の内政担当しているエイメンと申します。」
デルグ:「エイメン、存じ上げているよ。君の隣にいるのは外交担当のハッサン高官,その隣が軍事担当のライム高官だ。遥々、船で若いトップの君たちが祝福に来たことに深く感謝する。」
ライム高官:「キエール国には「豪傑」と呼ばれる者がおりませんので,我々が王の代理で伺った次第です。」
デルグ:「キエール王国が大国とわたり合えているのは,島という地形だけでなく,そなたら若い者の智慧によるところが大きい。その君らが揃いに揃って、祝福だけに来たとは思えない。本題に入りなさい。」
ハッサン高官:「さすがデルグ王。察しが早い。」
エイメン高官:「実は、デルグ国とキエール国との軍事同盟の提案に参ったのです。」
リューブ将軍:「そのメリットは?」
エイメン高官:「我々と同盟を結べば、ゲイメン国とエルム国を挟み撃ちにできます。デルグ王はロスタシア大陸を統一できるでしょう。」
リューブ将軍:「キエールのメリットは?」
ハッサン高官:「キエール島の土壌では穀物が育ちにくいのです。ロスタシア大陸の一部を我々に譲ってほしい。」
ライム高官:「ゲイメンとエルムの理不尽な支配に、その国で暮らす民も苦しんでおります。ロスタシアにおいては、デルグ王の人徳こそ民を団結させるものと信じております。」
デルグ:「申し訳ないが、お断りする。」
エイメン高官:「なぜ?」
デルグ:「ロスタシアの3国の不可侵を提案したのは私だ。さらにキエールと同盟を結べば、ゲイメンとエルムも同盟を結ぶだろう。そうなれば我が国は必ず亡ぶ。」
エイメン高官:「だからこそ、彼らが手を結ぶ前に東西から攻めるのです。」
デルグ:「この話は終わりにしてくれ。」
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