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「よし、ちょっと待ってろ」
ウサギはそう言って、片方の手でニンジンのようなロケットをつかみ、もう片方の手でロケットのやぶれた先っぽからのぞいているライカの頭をつまみました。そしてくっついたチューインガムをはがすように、ライカの顔をビヨーンと引っぱりました。ライカは自分がアニメーションのキャラクターになった気分でした。ビヨーンと伸ばされたライカはゴムがちぢむようにパチンと音を鳴らして元のからだの形に戻りました。
「な、な、な、な、ナニ? な、な、な、ナンで?」
自由になったライカはウサギの大きな顔の前でシッポと手足をバタバタ動かしながらたずねました。
「ここは、神様のポケットの中だから、まあ、やろうと思えばやれないことはないからな」
ウサギは鼻の下をこすりながら言いました。
「神様のポケット?」
神様を知らないライカにはどんなポケットなのか想像がつきません。
神様は面白そうに地球の周りをグルグル回るライカの乗ったロケットを、ヒョイとつまんで自分のポケットの中に大事にしまったのかもしれません。もしかすると神様は、そのままだとロケットが墜落してしまうことを知っていたからかもしれません。でも、誰も神様が考えていることは知りません。
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