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ここに入ってきた時、一人でちまっと座っていた水野君を見て、まだ馴染んでいないのかと思ったが……それは、余計な心配だった。 みんなの話を表情をクルクル変えながら、楽しそうに聞く彼女は、立派な野球チームの一員だった。 顔が火照っているのを感じながら、「フゥ~」と息を吐いた。 俺は、酒があまり強くない。ビールの中ジョッキ二~三杯も飲めば、いい気分になれる。 「生、三杯目位ですよね?」 水野君が、俺の顔を覗きこむようにしながら訊いてくる。 「だったかな……?」 うん、何となく気分がいい。 「お酒、そんなに強くないですか?」 「うん。すぐに赤くなるし、強くないと思う」 そう正直に答えると、水野君がクスッと笑う。 「?」と見つめていると、爆弾が落ちてきた。 「かわいいですね」 「っ!」思わず、目を見開く。 「水野君、酒、強い?」 水野君は少し考えた後、上目遣いで、囁くように言った。 「塚本さんよりは、強いと思います」 「っっ!!」 自分でも、何を言おうと思ったかわからない。俺から言葉が発せられる前に、水野君に声がかかった。 「沙映ちゃ~ん、生、頼んで!」 「は~い!他に何か頼みますか?」 と言いながら、水野君は立ち上がった。 特別な事を言われた訳ではないのに、水野君の表情(かお)と言葉が、優しく、甘く、俺の中で響いていた──
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