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三人で店を出て、ホッとする。 一瞬、藤田さんを生け贄として置いてこようか、なんて思った。けど、小竹君とも約束したし、俺と水野君を心配してくれているのもわかったので、やめておいた。 でも!夕方、水野君の頭を撫でていたのには、ちょっとムカついた。藤田さんの事だから、俺に見せつける為、わざとしたのかもしれない。 仕返しの為、小竹君の事をちらつかせながら、藤田さんの不安を煽った。 お店を出て、藤田さんと別れた。藤田さんは、これから小竹君と会うんだ。 二人が付き合っていると聞いてびっくりしたけど、“彼女のフリ”とかで、これまでもずっと一緒にいた。それがもう、当たり前な感じで。要するに『お似合い』だった。 水野君がどんなきっかけを作ったのかは、わからないけれど。とても彼女らしいと思った。 水野君の事を、藤田さんに任された。俺も最初からそのつもりだったんだけど、この状況の説明も……と言われて困った。 水野君は、藤田さんと小竹君が付き合い始めているのを知らなかったようだから、その事で相談があるとでも言われたのかもしれない。 何を話せばいいのか?何から話せばいいのか?自分が水野君に話したい事で、いっぱいいっぱいだったのに…… そんな事を考えながら、水野君と車に乗る。水野君が俺の車に乗るのだって、初めてだ。 いつも通りの水野君だと思っていたが、助手席に座った彼女の様子がおかしい。 俺が座敷に入った時、水野君と大橋部長には、それなりの距離があった。水野君も落ち着いているように見えた。 そんなに苦もなく、あの場所から退席する事ができたと思ったら、水野君が大橋部長を黙らせていたとは……
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