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しっかりしているように見えて、抜けている。明るく笑っていたと思ったのに、不安げにしている。 水野君から、目が離せない。 今も……やはり、大橋部長に何かされたんだ。 「水野君、やっぱり大橋部長に何かされた?」 水野君を見ながら、できるだけ感情を抑えて訊く。 「大丈夫です」 俯いて、首をフルフルと横に振る。 男の俺に言いたくない事や、話し難い事もあるかもしれない。でも、俺は知りたい。ちゃんと受け止めるから…… 「水野君。どうしても話したくないなら、無理に聞かないけど……話した方が楽になる事も、あるかもしれない」 抑えながらも、想いを込めてはっきりと言う。 「たいした事は、されてないんです!太腿を撫でられたり、耳元で囁かれたり……」 小さく息を呑む。「落ち着いていた」なんて、勝手な判断をして。彼女の気持ちを、もっと思いやるべきだった。 「ハァ」自分自身に、溜め息を吐く。 「イヤだったら、言って」 小さく息を吐いて自分に近い方の水野君の太腿に、そっと手を置く。 「触られたの、こっち?」 水野君に確認すると、コクコクと頷いた。 早く、早く忘れさせたい……!水野君の為というより、きっと自分の為に。ゆっくり、そっと彼女の太腿を撫でる。 「イヤ!」と言わないから、いいんだろう……そう勝手に解釈して撫で続けていたら、水野君の身体が強張った気がした。 顔を上げて、彼女の顔を見る。 「……」 ギュッ!と目を閉じ、顔を紅潮させ、何かを堪えるような顔をしている。
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